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六条潟の浅場の保全が重要なわけ

六条潟の浅場の開発・保全の行方が注目されている。

川が流入する内湾の浅い汽水域の保全はなぜ重要なのであろうか考えてみよう?

― 生き物で満ちている河口−内湾奥の浅場は宝の海の子宮ともいうべきたいせつな場所 ―

 川から河口−湾奥には、枯草・枯葉や流木など生物の遺骸が流入する。特に洪水時に土砂とともに多量に運び込まれる。これらは、腐食連鎖によって底生生物などの栄養源となる。河川の転石や川底の表面で増殖した付着藻類も、洪水時に剥がれて河口まで流下し、塩水と接すると沈殿し、河口干潟や浅場の底生生物を養う。
 また、集水域から栄養塩を溶かした川の水が河口から内湾へ流入し、海草・藻、植物プランクトンが成長・増殖する。内湾奥の浅い水域では光が海底まで届くので、全層で光合成が行われ、大型海藻やアマモなどの海草が水中草原(藻場)を形成する。
 河口から沖に向かう表層流によって栄養塩を供給された植物プランクトンが沖の海面で増殖し、やがて枯死して海底に沈殿する。沈殿した植物プランクトンを主体とする生物遺骸が分解して溶出する栄養塩は、河口に向かう深層流によって河口付近の浅場に還流してくる。
 川から流下する栄養塩と、沖から還流してくる栄養塩とが肥やしとなって、地球上でもっとも高い生産力を示すのが、湾奥に川が流れ込む内湾の河口付近に広がる浅場(干潟を含む)である。ここでは、川から流入する淡水は密度が小さく、沖の海水は密度が大きいために生じる河口−内湾の密度流によって繰り返し栄養塩が循環利用され、海草・付着藻類や植物プランクトンの光合成が促進されるのである。くわえて、陸域から運び込まれる有機物が腐食連鎖をも発達させている。このような特徴を持っている場所なので、多くの魚介類の稚仔が、餌が豊富で隠れ処ともなる内湾奥の浅場・藻場で育つのである。海と川の生態系を構成する多様な生物種の稚仔を生み出す、文字通り宝の海の子宮となっているのが内湾奥の河口一帯に広がる浅海域である。
 川からの洪水流によって運び込まれる土砂によってこの浅場が涵養されていることも大事な点である。上流や河口にダムを造ることにより、河口からの土砂供給が断たれた浅海は、その豊かさをしだいに失っていかざるを得ないのである。
 このような宝の海を干拓や埋立てによってつぶすことは、農地をつぶすことよりも大きな損失を与えるのだということを私たちは理解しておく必要がある。(文責:市野和夫、六条潟と三河湾を守る会)

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